NSX 純正オーディオヘッドユニット修理 作業内容紹介

修理内容紹介

オーディオヘッドユニットの故障の主要因は、コンデンサの経年劣化による電解液の漏れです。
電解液は基板上のパターンやICの足を腐食させ、ひどくなると断線を引き起こします。
この場合、コンデンサを交換するだけでは完治せず、パターンの修復、ICの交換が必要です。
このサービスでは、マイクロスコープを使用してパターンの確認、修復を行い、故障した部品を交換します。

受入検査

まずは受入検査を行い、症状を確認します。電源が入るか、AM/FM、CDの音量、音質が正常か、全てのつまみ、ボタンが正常に動作するかをチェックしていきます。

コンデンサ交換・パターン修復


主要なコンデンサを交換していきます。画像にも写っている2200uFのコンデンサは派手に液漏れしており、パターンが断線していました。平成3年式で一度もメンテナンスしていないヘッドユニットはほぼ100%コンデンサの液漏れを起こしていると考えた方が良いです。画像のコンデンサは一例で、実際はこれよりも多くのコンデンサを交換しています。


コンデンサの液は電気を通すので、電源ラインのショートさせることがあります。この基板は画像上部のケーブルの信号間でショートし、ケーブルそのものとコネクタが焼損していました。この場合でも新品の部品の用意がありますので、修理可能です。



劣化したレジスト(基板上の緑色の絶縁体)を剥離し、基板自体も洗浄し、クリーンな状態にします。この段階で基板上のパターンが断線しているところが見えてきます。赤丸の所はICが実装されていた部分ですが、ICをはんだ付けする部分のパターンが腐食により完全に無くなっており、このままではICが実装できません。銅箔を再生して再度実装できるようにしていきます。その他、VIA(基板の表裏を接続する穴)の断線もあるので、一つ一つ直していきます。


全てのパターンの修理が終わりました。銅箔むき出しではすぐに酸化してしまうので、紫外線で硬化するタイプのレジストを塗布し、紫外線ライトで硬化させていきます。その後、部品を実装し、最後に基板をコーティングします。

音量ノブ、選曲ノブ


音量ノブは回すときにバリバリというノイズを発生させている場合があるので、取り外して直します。選曲ノブも同様です。

カセットデッキの修理・調整

カセットデッキも手を入れていきます。再生ヘッド、キャプスタン、ピンチローラの清掃、ヘッドの消磁を行います。


ベルトを交換します。年月が経過したベルトはかなり伸びて劣化しています。NSXに使用されているのは断面が四角いタイプのベルトです。簡易的な修理ではオレンジ色の分割タイプのウレタンベルトを使用している業者もあるようですが、溶着した部分がどうしても太くなり、再生速度に影響があるので、こちらでは使用していません。長さ、寸法が同じ一体成型のベルトを使用します。


アジマス調整用テープを使用し、再生ヘッドのアジマスを調整します。この作業にはオシロスコープが必要です。その後、同様に専用テープを使用してドルビーレベル(音量)、テープスピードを調整します。これらのパラメータは、年月の経過とともに若干ずれていることが多いです。


左右バランスも調整します。NSXはドルビーBタイプです。測定ポイントで振幅450mVが基準です。

ラジオの調整

NSXのラジオはクワドラチャ検波方式です。アナログな調整部分が多い為、純正新品状態に近くなるよう一つ一つ調整していきます。シーク時に感度(どこで止まるか)もここで調整します。

最終チェック


ベンチにのせて全機能が正常動作することを確認し、メンテナンス完了です。

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